意見交換から行動へ
青少年健全育成大会

 家庭・地域・学校が手をとりあって、積極的に子どもたちを守り育てていくきっかけにしようと、毎年開催される青少年健全育成大会。昨年の11月28日に行われた同大会では、「少年の主張」などに続いて討論会が行われました。討論会には、警察関係者、学校関係者、PTA役員、主任児童委員などに加え、一般参加者も多数参加。5つの会場に分かれて「子どものために大人としてできることは」をテーマに、青少年問題の現状や取り組み方について、共に話し合いました。
 討論会では、各会場とも活発に話し合いが行われ、次のような意見が出ています。
家庭について


「自分の子どもをしかれない親、子どもにどのように接するか悩む親…。まずは親が家庭をしっかりと考えることが大切」

「何よりも円満な家庭生活を送ることが、非行を防ぐ第一歩。夫婦間などのトラブルは、子どもに決していい影響を与えません」

「親が励ますことで、子どもたちはがんばります。子どものよいところをさらに伸ばすために必要なこと」

「家庭環境、特に親の生活は、子どもに大きな影響を与えます。家庭のあり方、夫婦のあり方、親子のかかわり方で、子どもの基本的な性格ができます」

「親も忙しくて、なかなか子どもに接する時間がないのが現状。子どものことばをつい軽くあしらってしまいます。親の言葉遣いや子どもへの接し方を見直し、まずは親が変わらなくては」

「子どもに与えるなら親の愛を。物で解決するのではなく、心と心で子どもに接することが大切」


学校について


「すべての非行は家庭からともいわれるように、非行問題の解決策は家庭にあります。今は教育を学校に任せきりにする時代ではありません」

「小学校では不登校、保健室登校などの問題があります。中学生は、8割もの生徒が塾通いで、ストレスも増加しています。校外生活の乱れもあり、家庭だけでなく地域でも、このような子どもを見かけたらしかってください」

「ほほえみ参観日には、多くの人が学校の姿を見ることができるいい機会です。学校を訪問して子どもたちの姿を見ることは大切なこと」


その他

「スポーツ少年団に加入している子どもたちは、お互いに教えたり教えられたりしながら、いたわりの気持ち・やさしい心を養います」

「子どもを含めたこのような話し合いの輪を地域へと広げたい。青少年問題への対処には、家庭・学校・地域の連携が不可欠」

平成10年度少年の主張美濃加茂市大会から

「きれる」を本来の意味にもどしたい
最優秀賞 西中学校 橋爪夢乃さん

 「以前は(きれる)という言葉は、頭がよくまわり、物事を的確に判断できる人をさしていた。しかし、現在では宴vッツン鰍キることに使われるようになってしまった」という記事を、最近新聞で目にしました。私は、はっとさせられました。
 中学生である私の生活の中で、この「きれる」という言葉はごく日常的にとびかっています。それも、やっぱりこの新聞に書かれていたとおりの(プッツン)するという意味での使い方です。「そんなことをいうと、きれるぞ!」「あいつがあんなこというから、もう今日はきれちゃいそうだったよ」
 わたしたちは、この(きれる)を軽い冗談のつもりで使っています。笑いながら言っていることがほとんどです。でも、冷静に考えてみると、この(きれる)という言葉にはとても冷たいものを感じます。針で刺すような鋭い攻撃的な印象を受けるのは私だけでしょうか。
 今、新聞には目を疑いたくなるような中学生の(きれる)事件が次々と伝えられています。友達とけんかをして、あげくの果てには殺してしまう。親や先生をも殺してしまう。お年寄りをねらって、暴力をふるってむりやりお金を盗む…。こうしたひとつひとつの事件は、今の私にはよく理解できない部分があります。
 しかし、じっくりと自分自身を見つめ直してみると、私にもよく似たことがあります。先日、夕食が終わってゴロゴロとしている私が、母にお風呂に入るように言われたときもそうでした。注意をしてくれた母に対して、私は「わかっとる!うるさい!」と強く反発しました。その口調は、とてもつんつんしていました。心の中では、母の言うことはよくわかっていました。しかし、その時の私は、イライラとした感情を押さえきれませんでした。先ほどの事件と、全く同じです。
 では、なぜ私たち中学生が、こんなにも自分の感情を抑えきれない行動に出てしまうのでしょうか。
 私たちは、今、欲しいものなら何でも手に入る時代に生きています。携帯電話だって持っている中学生はそんなに珍しくありません。遊び相手がいなくても、テレビゲームがあればそれなりに一人でも楽しい時間ができます。おなかがすけば、どんなに遅くてもコンビニで手に入ります。しかし、こうした一見便利で「楽園」のような今の私たちの生活には、何かが欠けているような気がします。
 私は、家族といろいろな話をします。一日のできごとを話しながら、言いたいことを思う存分しゃべっています。時にはけんかもします。でも、気分的にすっきりとします。しかし、中には親が仕事で忙しくて、親と顔もあわせないという友達もいます。夕飯をいつも一人で食べている子もいるということを聞いたことがあります。そういえば、学校でも時間に追われて、ゆっくりと友達や先生と会話をする時間が少なくなってきているような気もします。こうした中で、私たちはさびしさやイライラした気持ちを心にためています。それが、他人から見たら「ちょっとしたこと」と思えるようなことにも、腹をたててしまう原因になっていると思います。
 実は、私たちは今、お金では買うことができない「やさしさ」に飢えています。友達や家族や先生の「あたたかさ」を求めています。新聞に載るような事件を起こした子たちだって、きっと心の中で「助けてくれ!」と叫んでいたと思います。どうにも止められない自分の感情を、だれかに止めてほしかったのだと思います。
 「プラス思考」という言葉があります。私は今、このプラス思考でいこうと思っています。腹をたてる前に、周りの人たちのよいところをたくさん見つけていく生き方をしていきたいと思います。友達にいやなことを言われても、「そうか、あんな見方もできるんだ」という考え方ができたらと努力しています。それが、私自身が本来の意味の「きれる人」に近づくスタートになるような気がしています。


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