丈夫な歯は3歳までの手入れがポイント






 歯の一生は、乳歯を健康に保つことから始まります。丈夫な永久歯をつくるために、特に3歳までの手入れが決め手となります。
 生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は、無菌状態です。虫歯の原因となるミュータンス菌は、親の口からうつることがほとんどです。0歳から1歳くらいまでは、親が幼児用ブラシで磨いてあげましょう。
 赤ちゃんの歯は、2歳半くらいで生えそろいます。虫歯を早くから作ってしまうと、これからの食生活や食べ物の好き嫌いに影響がでてきます。離乳食を食べさせなくなった後でも、食事内容には注意が必要です。特におやつの与え方、種類には気をつけましょう。このころは、やわらかいものばかりでなく、かむことを覚えさせる食事を与えることが大切です。
 2歳になったらブクブクうがいができるようになります。3歳を過ぎたら、自分で歯を磨くように練習させましょう。このときには、親の点検・仕上げ磨きが必要です。
 虫歯の予防法が親たちに浸透してきたため、一時期より虫歯は減りましたが、子どもの年齢が上がるにつれて増えています。
 平成9年の3歳児歯科検診によると、市の3歳児の虫歯は、表1)のように41・3%で、2・4人に一人は虫歯があることになります。また一人平均虫歯数は、表2)のように2・2本です。子どもの歯を守るのは、親の責任です。正しい磨き方を覚えましょう。また、フッ素・サホライド塗布は、歯のエナメル質が酸に抵抗する力を強めるので、虫歯予防の効果があります。ただ、絶対に虫歯にならないとはいえません。歯みがきをさぼったり、甘いものを多くとる食生活をしないように気をつけましょう。

おやつにも注意

 おやつは、量と時間を決めて食べましょう。糖分は控え目にして、食べたあとは歯を磨きましょう。
 特定の食べ物・飲み物で虫歯ができるのではありません。何を食べたのかより、何回どのように食べたかが問題です。 
 おやつの回数や量が多過ぎると、口の中は汚れっぱなしとなり、細菌の活動を活発にし、虫歯ができやすくなります。また、ジュース・炭酸飲料・スポーツドリンクにも糖分が多く含まれています。歯にくっつきやすいものにも注意しましょう。

虫歯の原因はミュータンス菌と糖分

 糖分が口の中に入ってくると、口の中の常在菌の一つストレプトコッカス・ミュータンス(レンサ球菌)が糖分を分解して、ネバネバしたデキストランという物質をつくります。
 デキストランは、たくさんの細菌を歯の表面に付着させ、歯の汚れをつくります。これが歯垢(プラーク)です。歯垢の中の細菌が口の中に入ってきた糖分により酸をつくります。酸が長時間歯に付いたままになっていると、歯の表面を形成するエナメル質を溶かします。エナメル質が溶かされると虫歯ができてしまいます。
 酸がエナメル質を溶かすのは、糖分が口に入ってから3分から10分ぐらいから始まり、約40分続きます。糖分の多い食べ物は虫歯の原因になります。糖分の多いものを食べたら、なるべくはやく歯を磨きましょう。
 歯垢は、うがいでは落ちません。口の中は細菌の育成に必要な適温と湿りがあり、外気にも触れず、さらに口の中に残った食べかすから栄養分が補給されるので、歯垢がどんどん増殖されます。さらに、歯垢が石灰化して固まると、歯石ができます。歯石は歯みがきではとれません。定期的に歯科医院でとり除いてもらいましょう。

歯みがき・おやつの与え方を学ぶ歯みがき教室


 市では、1歳6カ月児健康診査と、3歳児健康診査で歯科検診を行っています。その他には、2歳児対象の歯みがき教室、2歳6カ月から就学前までの子どもを対象に、フッ素・サホライド塗布の事業を行っています。
 毎月第2木曜日に、保健センターで行われている2歳児歯みがき教室。子どもの歯のみがき方や、虫歯にならないためにはどうしたらよいのかなどを、歯科衛生士が図や歯の模型を使い、分かりやすくお話をしてくれます。みんなで歯みがきしたあと、歯科衛生士によるプラークテスト(歯垢の残っているところに赤い色が付くテスト)を行い、個別に相談にのってくれます。また、フッ素塗布も行います。

大人の歯の病気

 6歳になるころから、永久歯は生えかわりを始め、12歳頃までには生えそろいます。
 永久歯が生え始めてから2年間くらいが、最も虫歯になりやすいときです。この時期から歯垢が原因となって、歯肉炎が発生し、成人の歯周病(歯槽膿漏)になっていきます。
 歯周病は、歯肉や骨が口の中の細菌によって破壊され、歯の周りの骨が溶け、歯が根元からグラグラ動き始め、最後には歯を失う病気です。日本人が歯を失う原因の半分がこの歯周病です。歯周病はひどくなると、歯性感染といって、歯肉の膿の中の細菌やその毒素が、血管やリンパを通って、心内膜炎や肝炎・腎炎・関節炎などの病気になることもあります。歯周病を予防するには、歯を清潔に保つことと、歯肉のマッサージを心掛けましょう。

8020運動

 永久歯の数は、親しらずを除いて28本です。歯の寿命は誕生から数えて約40年から60年です。人生80年の現在で、豊かな食生活を営み、日常生活を活発に送るためには80歳でも20本の歯が必要だといわれます。しかし現実には、80歳で全ての歯を失ってしまう人が半分以上です。子どものころから長年に渡って歯の健康管理を怠らず、上手に手入れをしていれば、80歳で20本の歯を残すことができます。

歯がぬけたら、すぐに入歯を

 歯が1本でも抜けたら、そのままにせず、すぐに入歯をいれましょう。抜けた歯の両側の歯は、抜けた部分の方へ傾いてしまいます。また、抜けた歯とかみ合っていた歯はゆるんでしまいます。やがて歯全体のかみ合わせが悪くなり、肩こりや頭痛などの原因になります。その他にも、かむ力が弱くなる・顎関節の障害・発音が悪くなる・顔の形が変わるなど様々な弊害がでてきます。

訪問歯科保健事業

 市内在住の人で、歯科受診を受けることが難しい寝たきりの人や、体が不自由で歩行が困難な人は、自宅で歯に関する相談・治療を受けることができます。保健センターに申込みをしてください。歯科医・歯科衛生士などが訪問します。


特集/歯の一生

歯の一生
丈夫な歯は3歳までの手入れがポイント他
プラークテストの様子
歯の磨き方いろいろ
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