こころを癒す、こころを開く音楽の可能性

音楽が開くこころの扉

民生・児童委員 渡辺敏夫さん

 民生・児童委員として活動するうちに社会の光と影を目にして、ボランティアの重要性を感じ始めていたころのこと。研修で音楽療法の存在を知り、本格的に音楽療法士の勉強をしてみないかと誘われました。興味はあってもピアノが弾けない私。迷っていると「ピアノを弾くばかりが音楽じゃない」と言われて気持ちが楽になり「よし、やってみよう」と、岐阜県音楽療法士の認定を目指して私の挑戦が始まりました。
 認定を受けるには、講座を受講して単位を取得するほか、実践活動やレポート提出などがあり、時間と意欲が必要。実は私、ライフワークとして大学に入学して勉強しているので、現在、二足のわらじをはいて奮闘中なんです。
 音楽療法士は、音という刺激を与えて相手に心を開いてもらうことが仕事。精神障害者小規模作業所「ひかりの家」を定期訪問しますが、勉強になることが多いですね。私から所生に積極的に働きかけ、相手の気持ちを尊重しながら歌や楽器を使ってコミュニケーションをはかるとやっぱり自分の気持ちが通じ、最後には所生から握手をしてお別れしてくれるほどの関係ができあがります。それは、大切なことは教えてもらうという気持ちでのぞむことだということを再認識させられるときでもあります。
 21世紀、高齢者はもっと増えます。音楽療法士はさらに重要視されるでしょう。これから私は、賛同してくれる仲間を増やし、どんどん活動をすすめたいと考えています。そして、みんなで音楽を楽しむことができればと願っています。
 縁があって民生・児童委員になった私。今、心から「やってよかった」と思っています。


音楽療法士について
 音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を鳴らしたりする中で、こころやからだを動かして生活をよりゆたかにするための手助けをするのが音楽療法です。
 岐阜県では、全国に先がけて「岐阜県音楽療法研究所」を設立。岐阜県音楽療法士(GMT)の認定などを行っています。GMTは県内ばかりか、東京都や京都府などからも受講生があり認定を受けた人が活躍しています。美濃加茂市には、まだ一人もありません。
 認定を受けるためには、研修講座を受講して必要な単位を取得するほか、実践活動を行ってレポートを提出したりするなど、研究所のカリキュラムにそってある一定の学習を終了することが条件です。そのうえで、本人の申請によって審査委員会で審査され、合格すれば認定されます。認定後にも、更新の手続きが必要です。実践記録の提出、実践検討会への出席など、一定の条件を満たすことが必要です。
*詳細は、岐阜県音楽療法研究所(電話500ー8384県民ふれあい会館内2棟8階、電話058・277・1155)へ

美濃加茂市音楽療法の先駆者
岸 一次さん
 子どもたちに童謡や遊びなどを伝承する活動のほか、特別養護老人ホームなどで自らアコーディオンを演奏し、入所者と歌いながら交流する活動を行っている。蜂屋地区の高齢者を対象とした合唱クラブの創始者でもある。音楽療法ばかりでなく、音楽によるさまざまな交流活動の草分け的存在。
安江貞江さん
 特別養護老人ホームさわやかナーシングビラが開所したときから毎週、入所者と音楽をとおして交流。高齢者の知っている曲を中心に、歌やリズム運動、手話、簡単な楽器などを利用して音楽療法を実践。渡辺さんと同じように、安江さんも県音楽療法士の認定を目指して勉強中。

音楽が起こした奇跡

カラオケは私の生きがい

大杉静真さん

 7年前に脳梗塞で入院したときは言葉が発音できず、人と話ができませんでした。そのときから、再び人と話ができるようになることが私の人生の目標となりました。
 リハビリには、お医者さんのすすめもあって私の大好きなカラオケを取り入れました。自分の歌を録音して聴き、正しい発音に近づくよう何度も反復練習。退院してからはすこやかタウンに通い、一生けんめい練習しています。
 今では、ゆっくりなら話ができるほどに回復し、私や家族をはじめお医者さんも「奇跡だ」と喜んでいます。カラオケ以外にも、自分でできることは何でもやるようにすることが、リハビリにつながっているようです。
 カラオケは私の生きがい。歌うことが楽しいのはもちろん、カラオケがあったから今の自分があるのですから。



特集/あなたとまちに音楽を


あなたとまちに音楽を
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音楽がまちに元気を与えてくれる
音楽が人のこころをつなぎまちをゆたかにする

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