エピローグ

 9月14日日曜日、牧野太鼓は名古屋市主催の「障害者と市民のつどい」に参加した。このつどいは天野鎮雄さんが司会をつとめ、障害者のマラソンなどが行われる名古屋市の福祉の祭典。障害者との心の交流を深めようと、牧野太鼓は毎年参加している。
 テレビ塔をバックにしたステージに立ち、障害者の熱い視線をいっぱいに受けながら、彼らはバチを振る。名古屋のビル街に彼らの太鼓の音がこだまする。牧野太鼓を体全体で受け止めようと、車いすから身を乗り出して聴き入る障害者…障害者の心に牧野太鼓の鼓動が響いている。演奏が終わると力いっぱいの拍手が会場にわき起こった。 「車いすでマラソンに挑戦する障害者のひたむきな姿にいつも感動し、勇気づけられる。私もがんばらなくっちゃ」メンバーの一人、森愛子さんはつぶやいた。牧野太鼓と障害者の心は通い合っている。


 


「楽しくなければ、福祉じゃない」牧野太鼓はそれを実践している

「楽しくなければ、福祉じゃない」
これが究極のスローガンです。
どんな時でも、まず“楽しくなければ…”を心がけてきました。どんな時でも、です。まず自分が楽しく喋ってなければ、聞いてる人たちは楽しいはずがない、と思って放送もしています。
自分に花吹雪をまき散らすんですねぇ。だから“障害者と市民のつどい”でも、最初から同じ精神でした。もう20年近くなります。その僕の独壇場に、途中から強敵があらわれました。
ステージでは実に楽しそうに太鼓をたたき、(まあたたくという事は、何をたたいても気持ちの良いものですが)、出番が終わると、あの災害やホームレスのイメージのあるブルーのテントを敷いて宴会を始めるグループが現れたのです。それが牧野太鼓でした。今年も雨でぬれたそのブルーのテントの敷物の上に引きずり込まれました。
まあ、“一杯”というわけです。
グループ全員が飲む者は飲む。買い出しに行くのもは行く(おでんですが…)と、皆笑顔なのが最高。
太鼓の技もきっと渋面でけいこするより、笑顔でけいこした方が上達が早いと思いませんか。
「楽しくなければ、福祉じゃない」
を実践しているのが、このグループです。来年は缶ビール2本とおでんを全部食べよ!ごちそうさま!(これ、来年用のお礼です)
平成9年10月   天野鎮雄


鼓動が心に響く 牧野太鼓 目次

鼓動が心に響く 牧野太鼓
人が集い、太鼓が生まれ、鼓動が響いた
「太鼓を聞いてよかった」その言葉がうれいい
太鼓はみんなの汗と涙の結晶だ
オーストラリアの大地に牧野太鼓が響きわたる
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