本との出会いは『楽しい 読みきかせ』から


 今年は、子ども読書年です。
 子どもたちに、素晴らしい本との出会いを願 い、様々な活動が行われています。
 「読みきかせ」も、そのひとつです。
 今回は、市内のそうした活動や、絵本の読みきかせの楽しさを紹介します。


 子ども読書年とは、今年を「新しい世紀に向かって、いっぱい本を読もう」という年にすることが、昨年8月国会で採択されました。また、5月5日には国立国際子ども図書館が、東京に開館しました。いま、次代を担う子どもたちのために、本の世界へ通じる扉が開こうとしています。


 古井小学校の読みきかせは、現在の読みきかせボランティアが活動し始めて4年目です。代表の渕之上一枝さんほか8人ボランティアが、毎月第二水曜日のお昼休みに読みきかせ会を開催しています。

 5月の開催日に、訪ねてみました。午後1時すぎに、開始のお知らせが校内放送されると、かなり広い部屋だと思われていた音楽室は、60人を越す子どもたちで一杯になりました。

 最初に、渕之上さんの大型仕掛け絵本が始まってすぐに、子どもたちはまるで魔法にかかったように静かになり、絵本の世界に入り込んでいきました。絵本読みが数冊続いた後に、絵本「アイウエ王とカキクケ公」(童心社刊)の手作りパネルシアターの登場です。会場一杯の子供たちの瞳は、パネルシアターの上で踊る主人公に釘付けでした。読みきかせの50分間は、あっという間にすぎてゆき、子どもたちの顔は、満足感でいっぱいでした。

 夏休みには、プールの待ち時間にあわせ、木陰読書会が開催されています。

 太田小学校では、平成3年からPTAの母親委員会の呼びかけによるボランティアが中心となって、子どもに読書の楽しさを知ってもらおうと月一回読みきかせの会を開催しています。

 平成10年からは母親だけでなく、父親も読みきかせをしようではないかということになり、「お父さんによる読みきかせの会」を毎年開催しています。子どもからは、「いつものお母さんに読んでもらうのと違い、面白かった」という感想があり、一方父親からは、「普段は、仕事が忙しく読んでやることもできずこういう機会があって楽しい」という感想があったそうです。

 伊深小学校では、「音読、朗読を核にした校風づくり」をめざし、学校、保護者、地域が一体となり、読書活動を進めています。学校の話では、「このことにより、子どもたちが自信を持って話せるようになり、また、読書、そして音読や朗読が大好きになった」ということです。 

 一方、地域活動でも読書に関心の深い人たちが文庫という形で、子どもに読書の機会を提供しています。現在文庫は、市内に2カ所あります。
 蜂屋町の矢島良子さんは、自宅の一室を「文庫ふきのとう」として解放。毎週金曜日午後、読みきかせや本の貸出を行い、読書の普及につとめています。
   
 また、伊深町では、伊深親子文庫(代表佐野綾目さん)が活動しています。伊深親子文庫を訪ねてみました。親子文庫の開館は、毎週火曜日午後3時から午後5時までの2時間です。伊深自治会館内にある八畳一間の部屋は、約5、000冊の本でいっぱいです。親子文庫の会員が、交代で貸出当番を行っています。

 開館時間を少しすぎた頃、小学3年生の少女が二人やってきました。彼女たちは、まるで自宅の本棚から好きな本を取り出すように、楽しそうに本を探しており、その姿がとても印象的でした。

 会長の佐野さんによれば、文庫が開設されてから今年で21年たち、今では、親子二代にわたって利用する家庭もあるそうです。最近は、子どもたちの読書の好みも様変わりして漫画本もあり、貸出も多いそうです。
 午後4時をすぎる頃になると、小学生はもとより保育園帰りの親子連れや野良仕事帰りの主婦で部屋はいっぱいでした。子どもたちの会話に耳を傾けると、自分が読んだ本について勧めあうなどしており、地域に根付いた文庫ならではの光景が見受けられました。

 そのほかにも、市内には子どもたちを本の世界へ誘うよう活動している人たちが、たくさんいます。

 学校図書館司書を中心とした劇団「はらぺこ」も、そのひとつです。平成4年に誕生して、すでに7年が過ぎました。『子どもたちに優しい心、心豊かな感性を育てたい』を目標に、主に大型ペープサート形式で公演しています。昨年度は、図書館を中心に14回上演したそうです。上演後は、絵本の世界をより身近に感じてほしいという願いから、子どもたちに人形に触れさせることも行っています。子どもからのお礼の手紙には、「とても良いお話だったので、(上演された)物語を一度読んでみたい・・・」というものもあり、多くの子どもたちを読書の世界に案内している様子がうかがえます。
 最後に、こうした中、新たな活動が始まりました。今年度から始まった山之上小学校の「読みきかせの会トトロ」もそのひとつです。

 子どもに、読書の機会を少しでも与えてやりたいとPTA母親委員会が中心になり、お話しボランティアを募集したところ、約30人の応募がありました。お話し会は、当初月一回の予定でしたが、人数が多いため毎週開催することになりました。図書館司書に絵本の持ち方など指導してもらい、読みきかせ会を開催したところ、初回は67人、2回目も57人で、参加したお母さんたちは、人数の多さに驚いたそうです。読み終わったお母さんからは、「人前で話すことは始めてで緊張したが、子どもたちの喜ぶ姿でがんばろうと思いました」という感想があったそうです。会長の兼松智子さんは、「子どもたちが喜んでくれている以上長く続けたいです」と話しています。

 また、お話しボランティアのネットワークも生まれようとしています。現在活動中の読みきかせの会のメンバーが中心となり、新しくできた読みきかせの会を支援したり、お互いの情報交換をしようという目的で設立準備が進んでいます。先日、取材でお会いした、できたばかりのお話しボランティアのリーダーは、「会の運営方法や読みきかせ方など分からないことが一杯です。もっと勉強したいです。」と話していました。このような会のためにも、ネットワークの今後の活動に期待します。


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