川はごみ箱ではない
 ホタルの季節、毎朝地元の人たちは川や堤防の掃除に追われる。ビールやジュースの空き缶・弁当の空き箱・タバコの吸い殻など…河原はまるでごみ箱のようだ。「ひどいですよ、これは」ごみを拾いながら、お年寄りは寂しそうにつぶやいた。
 ホタルが舞う6月中旬、ホタルの宴を楽しもうと多くの人が三和や伊深の里を訪れる。名古屋や岐阜など市外から来る人も多く、ピクニック気分でジュースやお弁当を持参する人もいる。問題は、ジュースの空き缶やお弁当の空き箱をどうするかだ。「田植えが終わった田んぼにまで、空き缶が散らばっていることも。畑仕事の前にごみ拾い。ホタルが増えるのはうれしいけど、ごみが増えるのはうれしくないね」という声が…。 ホタルを見に来る人は、自然を楽しむために来ているはず。しかし、自然に対してこの仕打ちは何か矛盾していないだろうか。
 「ごみが増えるなら、ごみ箱を増やせばいい」そうした意見もあるかもしれない。しかし、ごみ箱が増えればごみは減るだろうか。実際、廿屋口に一つのごみ箱がある。このごみ箱、ホタルの季節はすぐに満杯になり、箱からごみがあふれ出す始末。ごみ箱があれば、ごみ箱にごみを捨てる人は増えるが、ごみ自体は減らないだろう。やはり自分のごみは自分で持ち帰ってほしい。



 川浦川は、人々の暮らしと深く関わっています。
 明治時代から川浦川の水が流れる天王用水(写真上、伊深町)は、地元の人が野菜を洗ったり洗濯に利用したりしています。また、川浦川は川沿いの田んぼも潤します。



山里が車であふれる
 ホタルを見に来る人の駐車マナーにも、地元の人たちは頭を痛める。県道はもちろん、脇道にまで駐車の列が続く。なかには、待避所や民家の前にまで車が止められることもある。
 「いつもなら10分くらいで着く距離が、渋滞して1時間近くかかることも。待避所には駐車しないでほしい。救急車が来れるか不安ですから」地元では、こうした声も聞かれる。
 ホタルの里の道は、地元の人たちの生活道路であることを忘れてはならない。駐車マナーを守って、静かにホタルを楽しんでほしい。



ネコギギやホタルを捕らないで
ネコギギは国指定天然記念物、ホタルは市指定天然記念物。法律でも天然記念物の捕獲は禁じられている。1匹くらい私だけなら…それも許されない。しかし、ホタルの季節にタモや虫かご持参で来る人たちも見られる。ホタルやネコギギを家へ持ち帰っても、きっと上手に育てられず死んでしまう。かわいそうなホタルやネコギギ…。  三和や伊深の人たちが苦労して育ててきたホタルやネコギギを、これからもみんなで大切にしよう。


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