なぜリサイクルなの?
ごみ問題は環境問題


 地球の温暖化や酸性雨など、私たちをとりまく環境が悪化してしまった原因の多くは、ライフスタイルにあります。
 私たちは、便利さや快適さを追及するあまり、無意識のうちに大量のごみを出し続けています。私たちの健康をおびやかす恐ろしい存在といわれるダイオキシンも、日常生活の中で日々大量に放出されているごみが大きく関係しています。

ダイオキシンはどうしてできたの

 ダイオキシンは、何かの目的があってつくられたのではなく、偶然のいたずらによってつくりだされてしまいました。ダイオキシンは、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるような工程の中で意図せずにできてしまうのです。
 ポリ塩化ビニールなど塩素を含むプラスチックなどを燃やすだけでダイオキシンが発生します。そして、私たちの出すごみや産業廃棄物を処理する焼却施設から発生するダイオキシンは、発生量の8〜9割を占めるといわれてます。
 家庭用の小さい焼却炉やドラム缶などで、ただ単に燃えるごみを無造作に集めて燃やすことはやめてください。
 ビニールなど塩素を出すごみをきちんと分けて、それを燃やさないようにすれば問題はありません。でも私たちには今のところ、どんなごみに塩素化合物が入っているのか簡単には見分けることができません。よくわからないものは、家庭などで燃やさずに可燃ごみとして出してください。

ダイオキシンから身を守る

 環境中にあるダイオキシンが体の中へ入ってくる中で、90%以上を占めるのが食べ物を通じて口から。大気を浮遊し、ちりなどに付いて農産物の表面に付着したり、土壌や川・海へ入って魚介類が飲み込んだりして汚染が広がっていきます。
   ダイオキシンは、水にとけにくいので農産物が根から吸収することはほとんどないといわれています。表面についたダイオキシンをよく洗い流せばかなり抑えることができます。でも魚や肉は、食物連鎖によって濃度が高くなったものを食べることになります。ダイオキシンは脂肪にとけやすいことから、蓄積されやすい内臓などを避けることが大切です。
 体内に入ったダイオキシンは分解されにくく、その半減期は7年といわれています。このままでは脂肪組織や脂肪質の多い肝臓などの臓器に止まり、しだいに濃縮されることになります。でもこれから体内に取り込まなければ、元のきれいな体を取り戻せるはずです。もうこれ以上私たちの体に蓄積させないために、ダイオキシンが環境中に排出されるのをおさえることが必要です。

ダイオキシン

 人類がつくりだした科学物質の中で「地上最強の毒物」とまでいわれる。正確には、二百十種類もの似たような構造を持つ有機塩素化合物の総称です。
 このダイオキシンには発ガン性のほかに最近では、生物のホルモン分泌作用をかく乱する「外因性内分泌かく乱物質(環境ホルモン)」の疑いもあります。
微量物質のための単位
g(グラム) 
mg (ミリグラム) 千分の1グラム
μg(マイクログラム) 百万分の1グラム
Ng(ナノグラム) 10億分の1グラム
Pg(ピコグラム) 1兆分の1グラム
fg(フェムトグラム) 千兆分の1グラム
 
大気汚染

 平成8年度の環境庁調査では、大都市地域のダイオキシン濃度は、0・3〜1・65ピコグラム/立方メートル。(1ピコグラム/立方メートルは、1立方メートルの空気中に1兆分の1グラムのダイオキシンがあることを意味します)欧米の都市地域では0・1ピコグラム/立方メートル程度。日本の都市は、これに比べるとかなり高いといえます。
可茂衛生施設利用組合の排ガス中のダイオキシン濃度
測定日測定値
平成8年 4月 5日23.65ng/m 2
平成9年10月15 日3.1 ng/m 2
*大気汚染防止法の暫定基準は80ng。燃焼温度や集塵機温度管理などの対策によりダイオキシンの発生を極力抑えています。
 昭和55年に建設されたこの施設も、平成10年度末に廃止となります。
 
耐容一日摂取量

 一般的な生活環境で取り込まれるダイオキシンの量は、1日に体重1キログラムあたり0・52〜3・53ピコグラム。この内食物からの取り込み0・26〜3・26ピコグラム。呼吸による大気からの取り込み0・18ピコグラム。土が手についたりして取り込まれるのが0・084ピコグラムといわれています。
 環境庁が健康への影響を未然に防ぐための望ましい水準として5ピコグラム/キログラム体重/日と設定。(ダイオキシンの健康リスク評価)これは、許容限度ではなく対策をとるための目安。
 一生取り続けても影響がないと判断される一日あたりの摂取基準値は、厚生省や欧州諸国で10ピコグラム。WHO(世界保健機関)は1〜4ピコグラム。。


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