火災発生、その時・・・

 「美濃加茂市内で建物火災が発生」中消防署に響き渡りました。
 佐藤(仮名)消防士は、すぐに防火服を身に着け、タンク車に乗り込みます。「火災現場に最も近い消火栓はここだな」佐藤消防士は無線で詳しい場所を聞き、消火栓の位置をすぐに地図で確認しました。
 「緊急車両が通ります」タンク車は、サイレンを鳴らしながら現場へと急行。消防車は、最短時間で火災現場に着くように、道を選んで走ります。深夜ということもあり、国道は比較的すいていました。
 「次の信号を左!」佐藤消防士の声でタンク車は信号を左折、住宅街へと入りました。この辺りは細い路地が続く住宅街、火災現場はさらにその奥です。火災現場へ着くには、この住宅街を抜けなくてはいけません。
 すると、タンク車は急にスピードを落としました。「どうした」佐藤消防士が車から身を乗り出して前を見ると、道路に乗用車が2台止めてあります。タンク車がやっと通れる道の両側に、2mほどの間隔で。前方には駐車禁止の標識が見えます。「こんな所に駐車しなくても」佐藤消防士は、思わずつぶやきました。「もう少し右、ハンドルを切って」一刻も早く現場に到着しようと、佐藤消防士は必死にタンク車を誘導します。しかし、タンク車の行く手を阻む2台の違法駐車…。
 なんとか通り抜けて火災現場に到着。タンク車は放水を始めました。さらに消火栓から水をタンク車に補給しようと、佐藤消防士は消火栓の標識へ向かいました。しかし、標識の付近に肝心の消火栓が見当たりません。「まさか」佐藤消防士は、不安な気持ちで近くに止めてあった車の下をのぞきました。すると、そこに消火栓が…。
 これでは、ホースを消火栓につなぐことができません。「車をどかしてください」佐藤消防士は大声で必死に呼び掛けました。サイレンの音で近所の人が集まってきます。「すみません」一人の男性が走ってきて、車に乗り込み、そのまま去って行きました。
 今回は二度の違法駐車が、消火活動を阻みました。一刻を争う消火活動にとって、違法駐車は命取りです。
 もしあなたの違法駐車で、消火活動が遅れ、人が亡くなったら…それでもあなたは違法駐車を続けますか。

*この物語はフィクションです。


違法駐車車両にも事故の責任がある判例

事故の状況
数年前、午後9時ごろ、大阪府内で交通事故が発生した。現場は幅4.7mの直線道路で、終日駐車禁止。道路の両側に、2台の違法駐車車両。
 この車両の間を、1台の車が通り抜けようとしたとき、反対側から来たバイクがその車と違法駐車車両への衝突を避けようとブレーキをかけ、バランスを崩して転倒。バイクの後部に乗っていた人が対向車に衝突し、後遺障害1級となった。この被害者は、衝突した対向車だけでなく、違法駐車していた2台の車の運転手と所有者にも、この事故を誘発した責任があるとして訴えた。

判 決
1. 事故場所は、終日駐車禁止の場所であった。
2. 狭い道路なのに、違法駐車車両は夜間駐車灯もつけずに駐車していた。
3. 違法駐車によって、車道の幅は著しく狭められ、走行中のほかの車両の危険を増大させていた。
 この事故は違法駐車車両と直接衝突したものではないが、違法駐車車両と事故とはかなりの因果関係があり、衝突車と違法駐車側は、連帯して賠償責任を負わなくてはならない。賠償額は6千万円。



違法駐車  これは許されない犯罪です

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